●フロム蔵王 四季の便り<1997.MAR>

 
<フロム蔵王アイランドガーデン>

冬との別れに激しい吹雪は雪原に波のような模様を造った。

 ガーデン一面を覆っていた雪が春の兆しと共に消え、土が顔を出し、確実に春が近づいているのを感じる。しかし春とは言え外ではまだまだ寒く、木々の芽は堅くハーブの芽も動いている気配すらない。これが4月の声を聞く頃ともなると、いっせいに確実に、静かに目覚める様を見る事になる。毎年繰り返している事ながら何度経験しても自然の不思議な力強さを感じる瞬間だ。
 この春は40〜50種類のオールドローズを植えようと考えている。2〜3年もすれば、フロム蔵王の自然に溶け込むのではないかと期待している。また「小さい森」づくりも引き続き進め、先駆樹と考えているアカシアと針葉樹、照葉樹それに下草とで構成し、いずれは森と森をつなぎ安定した森環境にしたいと考えている。

 

<蔵王ハーブファーム>

アイランドを包み込むように虹のアーチがかかった。

 日中の気温が10゜Cになる日がたまにあるが、最低気温は氷点下の日がまだまだ続く。しかし、ガーデン内ではスノードロップ、クリスマスローズ、ビオラなどの花が咲き、昨秋のこぼれ種から芽を出し、冬の寒さを乗り越えたカモマイル、ボリジ、フェンネル、ディル、キャットミントなどはその株を充実させ、すでに春の活動をはじめている。
 温室の中では約200種の種子まきも終わり、苗づくりの作業もそろそろ本格的になってきた。植物相手の仕事は植物の成長が中心になっていてスケジュールが決まってしまうので、この季節は心身ともに追い立てられてしまう。人間中心の生活になれた身には戸惑うことの多い季節の始まりだ。